kansei
 
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「レイアウトに完成なし」に思うこと
 とある梅雨の朝、レイアウトのクリーニングをしていて思った事から。

 メインのレイアウトは奥側の線路が壁にくっついた構造なので、線路磨きはなかなか骨です。
 尤も威力は絶大で、クリーニング後の試運転で列車がするする走り出すのを見るのが楽しいこと(笑)

 レイアウト自体も線路以外が取り外し・交換できる構造(トンネルも含む)なのもこういう時には重宝します。
 トラックプランが単純な事もここでは大いに寄与しており線路の接触不良があってもどこでトラブルがあるのかを見極めやすい利点があります。


 さて、ひと段落つけて(笑)ふと感じた事を。


 クルマや家具でもそうなのでしょうがモノというものは「買う(作る)よりも維持する事の方が大変」ではないかと思います。
 曲がりなりにも自分の「作品」の場合、作っている最中はとても熱心に、それこそ魂を注ぎ込んで頑張る物でしょう。

 が、それがひとたび完成してしまうとそれで満足したり不満を感じたりしてしまい、奥に仕舞いこまれるか解体されたり売られたりしてしまう方向に流れてしまいやすい気がします。


 買う(作る)側の精神的な新陳代謝としてはそれも悪くはないと思いますが、レイアウトについても同じ事が言えるのではないかと思います。

 造る以上は完成を目指すのは当たり前ですし、その過程を楽しむ事自体が趣味とも言えるのですが完成した後「それをどう維持するか」について考えるケースはあまりない気もします。
 それとは逆に「維持するのが大変そうだからレイアウトをやらない」と言う考えも又、日本では大きい気もします。
(やってみると分かりますが、余程繊細に作ってある場合を除くと実際には昔ほどにはレイアウトの維持には神経質になる事はないと思います。幼児以外の人が扱う「模型」としてのレベルで、ですが)

 とはいえ、一旦出来上がった物を「維持する」となるとそれが苦痛になるのも又事実です。

 昔のTMSやとれいんなどをチェックしてみても著名なレイアウトで当初のコンセプトを守りながら20年以上維持されているものは指を折って数えるくらいです。
 私見ですが、レイアウトが続かない理由は場所やコストの問題ではなく(あってもそれが主問題ではないと考えます)「レイアウトを維持する」事それ自体で挫けるケース(ここでは「飽きる」事も含みます)が大半ではないでしょうか。

 私のレイアウトの場合上述の構造上、他に比べてメンテナンスは楽な部類な筈ですがそれでもしょっちゅう保守活動をやる気にはなれません。


 しかしそれでもレイアウト作りは楽しい。未完成であっても自分がコーディネートした風景の中を列車が走るのを見る楽しみは他には代え難い魅力があります。
 これはユーザーが風景をコーディネートできないレンタルレイアウトや専門誌の記事を読むだけでは分からない感覚でもあります。

 そして完成を目標に「作っている」段階では案外苦痛も苦痛に感じないものかもしれません。

 してみると作る方や産み出される方にとっても「できる限り長く楽しむ」為には「完成を夢見つつ、それでいていつまでも完成しないほうが幸福」ではないかとも思えます。
 (思い出したのですがJohn AllenのGD Lineも33年作り続けて未完成でしたし)
 昔のTMSでよく言われていた「レイアウトに完成なし」の定義とは少し違う結論ですが、少なくとも完成しない事を自分が怠ける為の言い訳に使うのとも少し違う気がします(いや、少しはあるのかも)


 
 但し、そのためにはレイアウト作りにおいても「最初の一歩を踏み出している」事が肝心なのですが。

 こんな事を考えられるのも自分のレイアウトを曲がりなりにも作って来られたからかもしれません。

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