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科学教材社「工作ガイドブック」


今回取り上げる本は科学教材社の「工作ガイドブック」です。

写真は77年版ですが初めて買ったのは75年度版です。こちらは本自体が読みすぎでばらばらに分解してしまいました(涙)お値段は3000円近く。今の感覚で言うなら軽く1万円くらいでしょうか。
無闇に分厚い通販カタログがただで送られてくる現在からすると時代の変化を感じます。

この頃は「模型とラジオ」や「子供の科学」が鉄道模型の工作記事を定期的に掲載していた頃で本書も「模型とラジオ」の別冊と言う扱いで73年から80年代初頭まで隔年で出ていた記憶があります。
(最後の方では「超銀河伝説・バイソン」のラインナップを掲載していたのが印象的でした。ガンプラ全盛の時期でしたが肝心の本家のラインナップが掲載されていなかったので余計印象に残った記憶があります)

これは言ってみれば「模型の総合カタログ」みたいなもので電子工作・RC飛行機からプラモデル・工具類に至るまで主要商品を網羅した本で、巻頭の注文書を使えばその商品の購入も出来るといったものでした。
システムとしてはまだるっこしかったですが、当時地方の模型店でこの本と同等の品揃えの店がまずなかった事を考えれば悪くはないシステムだったとは言えます。


当然鉄道模型も当時全盛だった16番はもとよりNゲージやZゲージ、ライブスチームに至るまで取り上げられていました。

当時は子供だった私ですが時期がKATOのNゲージの存在を知り始めた頃で、鉄道模型をやってみたくてたまらなくなっていた折に本書の存在を知り、なけなしの小遣いをはたいて購入しました。
この本は単にラインナップを紹介するのみならず模型のプロトタイプについては簡単な解説も付いていたので一種の図鑑としての機能も有していました。そう考えると3000円も怱々高くなかった気もします。

最初に見て驚いたのは16番モデルの種類の充実振りと、Zゲージのシステム性の高さ(TOMIX登場以前のNゲージは全メーカー合わせてもメルクリンのそれに劣っていました)でした。子供心にその華やかさに酔っ払い、これが我が物になったらどんなに楽しいかずいぶんと夢想したものです。


ところがそろばん片手(この辺りが時代を感じますが)に自分の欲しいものを計算してみたらいきなり絶句しました(言い忘れていましたが、当時はメーカーのカタログですら値段が記載されていない事が多く(驚)その意味でもこの本の価値は大きかったです)

この当時ですら16番モデルはキットでも5桁価格が当たり前。天賞堂辺りの高級品ともなれば機関車一両が5万円に迫る勢いでした。まして線路や建物まで揃えるとなると大真面目に本物の自動車が買えそうな額になっていたのです。
(しかもこの頃はそれ程の高級機になると最小回転半径が半端じゃなくでかい事も知りませんした。実際に走らせようとすると6畳間をつぶすスペースが必要だと知ったなら尚更腰が引けたことでしょう)
Zゲージも状況はほぼ同じ。まして個人的になじみの無い欧州型ばかりのラインアップは大変な高嶺の花だったわけです。


それに対してNゲージの方は16番に比べるとラインアップが貧弱で(何しろ当時は特急型の電車すら出ていなかった)物理的な金額は高価とはいえ、それらに比べればまだ安価でキハ20系の動力車辺りならどうにか小遣いを3ヶ月位貯めれば手が出そうでした。

結局これが私にNゲージを選択させるきっかけとなりました。

それにしてもそろばん片手にコスト計算してゲージを選ぶなど趣味人の風上にも置けぬせこさではありました(笑)

TOMIX登場の約1年前の話です。

ここからは余談ですがカタログ通販全盛のこのご時世、この手の本がどこからかまた出ない物でしょうか。模型の全てのジャンルを俯瞰できる本というのは絵本としても極上の楽しみ方が出来そうに思うのですが・・・

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